魔法の手 silver bullet 2003 5 25

 どうも、子供の世界では、魔法の杖が流行っているらしい。
おそらく、ある映画が、世界的に大ヒットした影響らしい。
最近の日本経済を見ると、子供でなくても、魔法の杖を使いたくなりますね。
私は、あの映画で使っている杖より、もっと長い杖を知っています。
それは、長さが1メートル以上もある杖で、もっと頑丈で、太いものです。
 しかしながら、あまり魔法というものを考えてしまうと、
世の中、どうも、努力とか勉強とかを軽視する方向に流れやすいと不安になります。
やはり、世の中で成功する資本とは、努力と勉強であると思います。
時には、信仰深く、努力と勉強の人生を生きていれば、必ず奇跡は起きます。

 それにしても、今のお金の流れには困ったものです。
債券価格の上昇(長期金利の低下)で、金融資産が債券市場へ流れ込んで、株式市場に流れない。
確かにこのまま、今後10年間、たとえば毎年2%のデフレが続くと、
10年物の国債を10年間持っていれば、それなりに、いいことがあります。
 しかし、これはあくまでも消極的な投資であって、積極的な投資ではない。
しかし、みんながそろって、この消極的な投資をするものだから、
債券市場はバブル状態になってしまった。
 それにしても、これでは金融を緩和した意味がない。
そもそも金融を緩和した意味は、成長する潜在力を持った企業向け融資を増やすためであったはずです(A)。
ある人たちは、金融緩和は、経営危機にある企業を救済するために、金融緩和をしていると主張する(B)。
またある人たちは、金融緩和は、貯金という市場から株式市場へ、お金を流すためにあると主張する(C)。
 日本においては、この10年間、(A)も、(B)も、(C)も効果がなかった。
だから、同じことをあと10年続けても効果はない。
 この際、発想を変えて、逆のことをすればいい。
金利を上昇させる。つまり、預金者の金利を上げる。
 日本においては、国民の財産といえば、貯金しかない。
実質的に土地や株式を所有している国民は少ない。
 金利が上昇すれば、どういう経済効果が現れるか。
(ア)日本には、裕福な老人層があるが、この老人層に安心感を与えて、老人層の消費拡大につながる。
(イ)キャッシュフローの潤沢な企業においては、財産が増えて、設備投資への意欲がかき立てられる。
(ウ)まじめに働いてきた職人は、コツコツと貯めてきた貯金が増える。本来は職人は金放れがよかったはず。
(エ)欲が少なく、この10年間、大きな買い物をすることなく、まじめに働いてきた国民は、
  コツコツと貯金をしてきた。この貯金はどうなるのでしょうか。
 金利を引き上げた場合に、(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)の人達の資産が、どのくらい増えて、
どういう経済行動をするかを分析する必要がある。
この経済効果の方が、従来の経済効果より大きい場合もあり得る。